last update:1999/04/14  

となりの芝生


『Memory青春の光』 モーニング娘。  Single 99.2.10



 ゴージャスなオーケストレーションの導入部頭サビで乙女心をゲットした後、純然たる楽器として用いられた外人ラップの間奏でお得意の「あっは〜ん」をカマし、Aメロはそのままヒップホップ調と、ファンク歌謡モー娘スタンダードのバリエーションである。今回特徴的なのは、ほとんどのソロ・パートにファルセットの裏メロを入れ、サビは当然として従来のオブリガード的なもの以外にもコーラス・パートが多いことだ。キャラの立ったソロの交代というグループ・アイドルの妙味を生かしながら、この楽曲に必要なムードの一貫性をキープする技である。あたまのわるいアイドル・ジャーナリズムよりは、(本人の主観と関係なく結果的に)つんくのほうがよほどアイドル復興の志が高い。特に、恋破れて彼氏にグッバイを連呼(デュエットを四交代)し、これもファルセットでスキャット(ユニゾン)と続くエンディングはつくづく最高だ。本来のカップリングの、バンド・ブーム残党らしいニュー・ウェーブ風が女子高文化祭っぽいパーティのりをかもし出すディスコ・チューンを挟んで3曲目は、話題の福田脱退記念に特別付録。U2みたいなスケール感のあるロックンロール感動編が、内容的にCoCoのラスト・シングルも髣髴させるナンバーである。餞別的にソロを取る、あまり感心してなかったが8人の中でプロデューサーにもっとも忠実な歌い回しも今はなごりおしく、感極まってか声に湿度の増した2コーラス目のBメロでメンバーのコーラスがワーッとかぶさり→右上がりのギター・ソロ→サビ前半をユニゾンでスキャットとくるドラマチックな展開には、ああ泣き出しそう…。アイドル・クループの「噂」としてありがちに、一時的な現象で仲が悪く見えたこともあろう。実体としても、公言しているように互いにライバルだ。しかし本質的には、短くても一生のピークであるような期間に苦楽をともにしたチームメイトなのである。美しく別れが惜しまれている。

[兵庫県/みんあみ] 




トップページへ戻るとなりの芝生メニューへ戻る

Copyright (c) 1999 Kochira Shinjuku 3-chome