last update:1999/04/14  

となりの芝生


『青い鳥』 仲間由紀恵  Single 98.11.26



 タイトルからして「仲間」がキまくり、と感じられるほどの彼女のファンというものは、専門家からも「ディープ」と評される業の深い連中(他人事ではない)なので、ファン心理の深奥に達するこの曲の内容の「濃さ」を喜んで聴けるが、一般人にはいささかへヴィなものではあろう。歌手としてはヒットに恵まれず、たまに『夜もヒッパレ』に出ても共演したのりピーに歌の後の座談でシカトされたりと立場のつらさに惻隠の涙を誘ったものだが、ドラマ女優としてはそこそこに知られているのではないだろうか。しかし彼女のアイドルとしての本領は、成功を得たといえない歌にこそあるのだ、とファンとしては断言するものである。TV画面にもその片鱗は示されるが,南国育ちらしからぬ独得の翳りがキャラクターとしてあって、つねに「主演」である音盤では,それが全面的に展開されている。マイナー・コードのハウス調と「けなげ」としか言いようのないヴォーカル・スタイルのマッチング。「痛い」くらいに歌詞が深刻な本作では、従前のパターンがますますハマッている。これに対して「あれからわたしも大人になった」とうたうC/W曲は、そのことにギクッとしたことよりも、いかにも「女優」なスカした感じの歌がイマイチだと思われた。唱法は多彩なのであるが…。以上のような感想は彼女にとっては迷惑なだけかもしれない。

[兵庫県/みんあみ] 




トップページへ戻るとなりの芝生メニューへ戻る

Copyright (c) 1999 Kochira Shinjuku 3-chome