きょうは、野音だ! お祭りだぁ!

[アイドル・スプリング・カーニバル 特集]


水野あおいの ひたむきさ

 KS3を毎号お読みの方には、いまさら説明の必要もないでしょうが、あおいちゃんといえば、フリフリの衣装とキュートな振り付けで純情な恋の歌を歌う、20歳になっても中学生みたいなルックスの女の子ですね。私も、〔天使のU.B.U.G.〕で初めて 彼女(当時は19歳でしたが)を知った頃は、ちっちゃくて守ってあげたくなるような かわいさに惹かれていました。初めてイベントで握手したときの小さな手と小さな姿は、今でも覚えています。しかし、彼女の魅力はそれだけにとどまりません。それに気付いたのは、ライブを観るようになってからでした。

水野あおい  まず、歌がうまいこと。私には彼女以前のアイドル前科(笑)がないので、誰かと比べるということはできないのですが、声もよく出てるし、音程もしっかりしてるし、なにより自分の曲はもちろん、他のアイドルの曲でも、自分の曲として歌いこなす力があると思います。とくに、元気系の曲では独壇場といった感じです。ただ、バラード系の曲の表現力は もうひとがんばり欲しいところですが、これには人生経験も必要でしょうね。
 そしてもうひとつが、彼女がファンとつくるステージの親密さです。歌とコール、MCとツッコミとが渾然一体となって、実にあやしい(^^;;;、でも心地よい空間が生まれています。とくにMCでは、彼女自身のアイドルへの思い入れと博学さが、百戦錬磨のファンの心をも捉えて離しません(笑)。

 この状況を評して、「アイドルとファンがそれぞれの役割を演じている」「お約束」だとする人もいます。彼女自身、「アイドルを演じるアイドル」「メタアイドル」と見なされることも多いので、そう考えるのも分からなくはないですが、やはり表層的な見方だと思います。

 アイドルが好きで、アイドルになりたくてたまらない女の子が、この世界に入ってもう5年。
 MCの発言などからうかがわれる彼女は、そのあいだ一貫してアイドルとしての自分を強く肯定し、信じてやってきたと感じます。そして、歩みはゆっくりながらも、確実にステップを昇ってきたのです。それは彼女自身の物語であり、そこには「演じる」という二重性は存在しません。この一途なひたむきさこそが、彼女の最大の力であり、私が惹きつけられてやまない一番の理由でもあります。

 握手をする彼女の手は 今でも小さいですが、その存在感はステージを重ねるごとに大きくなっていると感じます。日本一のアイドルへの道は まだ先が長いですが、マイペースかつ、変わらぬ信念を持って進んでくれることを望んでいます。

[文・写真とも:東京都/たみ]


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