last update:1998/08/12
特集 98/ 5/ 5 日比谷野音に見る、
SKi新世代メンバー徹底批評
BY 山野麦文(大阪府)

 98年に入ってから、ライブ・アイドルを主催する団体は、どこも皆、今まで以上に苦労している。金銭面・人材面・集客力・そして何といっても、ステージに立つアイドルたちの意欲…。さまざまなファクターが、団体のスムーズな運営を困難にしている。
 人気ライブ・アイドルの一人であった矢野一美の5月末での休業は、それを如実に表わしている。
 無論、PTAコミティ並びに、所属のアイドルグループ・制服向上委員会もその例に漏れない。

 今年2月の七人のメンバー卒業から、およそ三か月が過ぎた。そして、96年2月に一期生が卒業し、三期生へとフロントメンバーを移行した時以上の大激動となった、新世代の『制服向上委員会』のおおよその形が、私たちの前にその姿を見せてきた。
 新生・制服向上委員会には、コンサート会場に集まる観客たちに、ライブ・アイドルとして十分見せるに値するクオリティを保つために、フロント・メンバーとして立っていた卒業メンバー並み、いや、彼女らのこれまでの印象を吹き飛ばすぐらいの新しい魅力が求められる。果たしてそれは、うまくいったのであろうか。
 ここでは5月5日の日比谷野音における《制服の子供の日記念・55曲コンサート》の見聞をメインとして、新世代へと移行したSKiの現在の姿と各メンバーへの批評、そして将来あるべき姿をシビアな目で見てみたいと思う。

 この春の公演で見る、一番の成長株は何と言っても三浦恵里子であろう。
 この日は『笑顔が好きだから』『恋のインビテーション』『君だけの道』と旧吉成圭子系統3曲のメインヴォーカルを担当。『恋のインビテーション』で、歌い方が橋本美香のコピーぽかった点と、全体的に中高音部を若干外し気味である所が若干気にはなったが、十分魅力的に歌えていた。
 振り付けもキチンとしていて、全体的に見て大きな問題点がない。
 サイドヴォーカルでもかなりの曲数で登場していた。松井陽子・川野朋美の二人ががいなかったという点から考えると、順当に行けばここは中井祐子であるはずだから、大抜擢といえる。
 そして、ステージ進行上かなりの比重がかかっているのにもかかわらず、舞台の上で全く物怖じせずに、えりりんスマイルでステージをこなしていた。私は「これはすごい」と感じたのである。昨年秋に正式に入会してわずか半年強で、これだけできるようになるとは正直いって驚いた。
 もう一つ加えるのならば、彼女はすでにキャラが立っていて、それが受け入れられていることだ。現在のファンさん好みの「いつもまん丸の恵里子スマイルで愛想よく接してくれる」ということで、大いに気に入られている。
 こうして見ていくと、彼女は正しくキャラクター的に「宮田直美の後釜」といえるであろう。歌声をよく聞いてみると、中高音の発声が宮田直美している。でも、かつての宮田直美よりはずっとうまい(笑)。
 もっとも宮田直美は、それが売りになっていたから、それと比べるのもどうかと思うのだが…。

 この調子でやっていけば、彼女は将来十分SKiメンバーの主力としてやっていけるであろう。もう少し歌唱に安定感が出てほしいし、レッスンを積んでいけばうまくなれると思うのだが、逆に今持っている魅力をスポイルしてしまうかもしれないとも思う。
 こうして見ているとキャラこそ違うものの、かつての橋本美香と同じパターンで、彼女は一歩ずつ地歩を固めていっていると言っていい。
 そして、そんな彼女を推すファンさんが日増しに増えていっているという事実。やっぱりファンも「何が魅力的なのか」を良く分かっているのである。

寄合歩

 Ayumi Yoriai
撮影:山野麦文

 同じ新四期生の、寄合歩もよく頑張った。
 彼女も短い期間の間にずいぶんと成長を見せている。メインは一曲のみであったが、三浦と同じくサブヴォーカルで、かなりの曲に登場した。プレ創刊号でBW君が指摘した「振り付けの遅れ」も、見ていてほとんど感じられなくなっている。
 メインヴォーカルは、斉藤美緒子から受け継いだ『恋は雪のよう』であった。音符を譜面の通りそのままに歌っている感じで、なんかカクカクしていて妙な歌い方であったが、部分部分を取って見るとそう悪くない。高音も伸びているし、音の抜き方にも個性があってそれが結構心地よい。久保愛が「(前に歌っていた)美緒ちゃんに似てる所がある」と言ったのも理解できる。
 何よりも曲の世界に入って、詞を理解して歌っている点が気に入った。これができないことには、いくら歌唱力があっても魅力は出ない。
 彼女は「歌うことが基本的に好きな娘」なのであろう。この日もまたバックで踊っている時、大きく口を開けて一緒に歌っていたのだから…。
 そんなわけで、三浦と違って歌唱という点ではもっとレッスンが必要なのだが、持って行きようによっては、なかなか魅力的な歌い方ができるはずだ。

 そして何といっても、彼女最大の魅力はMCにある。
 この日もやってくれた。ステージの床に落ちたポンポンのクズを拾い、「これって『ダイエット号』のやつですよねぇ〜」と来た。普通、ステージに落ちたポンポンの糸クズを気に留めるか、寄合!
 この後、大切な衣装である制服のポケットにその糸クズを入れたのには笑ったなあ(ここでその糸クズを床に再び捨てていたら、彼女の魅力は半減していた)。
 そして、「『口笛』で、私の“アミーゴ!(の振り)”が入っていたのに、私は歌えなかったので悲しかった」という久保愛の言葉に対してブチカマした一言。「『アミーゴ!』って何ですか?」。
 笑いと共に、どよめく会場。みごとに観衆をノセた。本当に久保愛の名ギャグ「アミーゴ!」を知らなかったであろうか。それとも、知っていてわざと一発カマしたのか? いずれにせよ、ここでこのようなセリフを出せるということは、相当のMCのセンスがあると見た。
 彼女はこの先のSKiにとって、なくてはならないメンバーとなることは間違いない。
 ただ、強烈なキャラだけに、彼女に対する好き嫌いは、はっきりと分かれるであろう。だが、そういったメンバーがいるからこそグループは活性化するものであり、見ていて面白いのです。

 「それでは、二人で漫才をします。『恵里子ブラザース』でーす」。
 この二人のムードは実に良い。その分、元祖四期生二人の元気が無かったのが気になった。
 この日川野・麻井が抜けていたということ、そして三浦・寄合・秋山に重点を置いたステージ構成は、伊藤・中井にとってモチベーションを欠けさせる要素となってしまったのであろうか。
 中井祐子は、日比谷ではソロでのメインヴォーカルがなかった。こいつは一体どういうことなのであろうか。この日の曲目を見ると、歌唱力・表現力が必須である歌い込むべき楽曲は井上・橋本のベテランに振り分け、逆にそうでない可愛らしい曲は新四期生と五期生に歌わせたという形になってしまい、その中間点にいる彼女はあぶれてしまった…と、いうところなのであろうか。
 また、ゆめのしずく氏のレビューにもあるように、見ていて振り付けの間違いが少々目立っていた。この辺りにも理由があるのかもしれない。
 秋山とのデュオの『シンガー』を聞いて感じたこととしては、歌唱自体はかなりうまくなっている。
 まず、歌声自体にパワーがある。元々声質が低い娘であったが、その声に迫力がついてきている。もう少し歌唱に中井祐子のオリジナリティが出てくれば、断然魅力が増してくるであろう。
 この日の舞台で、中井祐子という娘は“アイドル”よりも“歌い手”の志向を持っていることをハッキリと私たちの前に見せたと言っていい。
 こいつは正解だ。この先のSKiにおいて、歌唱力・表現力を持った人材は必ず必要となってくる。彼女ならば、将来それに十分に応えてくれる資質を持っている。
 そんなわけで、私はこれからの中井祐子に対し、大いなる期待を持って見ていきたいと思う。
 井上裕紀子の後を継いでいくのか、それとも、もっと別の世界に目を向けていくのであろうか…。いずれにせよ、面白いことになりそうだ。


 Kayoko Ito
撮影:山野麦文

伊藤嘉代子

 そして、伊藤嘉代子であるが、この日のメインヴォーカルは『恋の占い』ただ一曲。高音部が今一つ伸びなくて、声を伸ばす所ですぐにタレてしまうのが難点ではあるが、歌っている時の表情の作り方はなかなか良いと思う。そして寄合ほどではないが、全体的にカクカクした歌い方だ。「かこちゃんは、あれが売りなんです」と言われれば、そうなのかもしれないが、見ていて全体的に「これが伊藤嘉代子の魅力」ってモノに欠けるのが残念だ。
 彼女は『16才』や『恋の占い』など、旧望月菜々系統の、いわゆる“切ない”曲を主にソロで歌っているのであるが、どうにもしっくり来ないと感じるのは私だけであろうか…。
 率直に言って彼女には、この先の歌唱の著しい伸びを期待するのは難しい。それゆえに、「キャラクターでファンさんたちを引きつける方向」へと持って行かないといけないと思う。
 4月の《SKiのみどりの日》公演での四期生を集めてのコーナーで、「SKiにいると、休みの日の由来など調べて頭が良くなる」と言った三浦恵里子に対し、「調べませんよ、私は…」と返したという。
 この「いまどきの女子高生っぽさ、クールさ」を前に押し出した方が面白いのではと思う。
 街を歩いているといくらでもいそうな、見た目の魅力が分かりにくい娘。…なのに、ステージの上に立つ姿に不思議と魅かれてしまう娘…。“清く正しく美しく”の『制服向上委員会』にそんな娘が一人ぐらいいても良いではなかろうか?なんて思うのだが、皆さんはどう思われるであろうか。
 余談ながら、出来上がってきた撮影会の写真を見て、かつての主力メンバーであった吉田未来の姿を連想した。ここに彼女の魅力を解く鍵があるのではないかと思う。


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