www版制作にあたって


 この「春になれば」ぺーバー版は、卒業式当日、ミニコミ「こちら新宿3丁目」(KS3)購入者を中心に無料配布しました。また、普段お世話になっている方には表紙カラー版を差し上げました。合計で100部ほどになります。また、美雪ちゃんには全ページカラー版を渡してあります。これは、自分用と合わせて2部しか存在しません。



 卒業式開演前、会場前でCD-ROM雑誌の編集者という方がKS3スタッフを訪れました。まだ最新刊ができあがってなかったので、バックナンバーを何冊か渡し、一緒に「春になれば」も。
 3月24日に発売される「MPEG SPECIAL」VOL.5(株式会社アスキー 刊)にSKi関連が載ると聞き、さっそく見てみると、KS3に加えて「春になれば」までも表紙と簡単な説明が…。
 KS3に関しては、掲載の場合はメールで連絡するよう伝えたにもかかわらず、そのようなことは一切ありませんでした。本誌も「無断掲載禁止」とは確かに書いていません。さらに、奥付の「編集協力」には、私の名前(夢野 雫)までもが記載されています。もちろん、協力などしたつもりはありません。掲載希望の連絡があれば、カラー表紙を送ってこちらを載せてもらったのに、大変残念なことです。もっともこのようなことは、出版界では時々ある話だと聞きますが。



 3月4日に、美雪ちゃんからお手紙が届きました。内容は、「春になれば」へのお礼が中心です。そして、文章を寄せてくださった方々へお礼を伝えて欲しいとも書かれています。何とも、美雪ちゃんらしいですよね。

 このミニコミのタイトルは、編集後記にも書いたように美雪ちゃん作詞の曲から借用したものです。しかし、一度も歌うチャンスがないまま卒業式も過ぎてしまいました。もはや、永遠に聴くことはなくなってしまった。ところが、3月に行われた吉成さんのツアーで歌われたというのです。私は参加していないので聴いてはいないものの、とても残念な気持ちになりました。美雪ちゃん本人でさえ機会がなかったこの曲を、他の人に歌わせるスタッフの神経を疑います。



 さて、Web化にもすぐ取りかかろうとは思っていたものの、どうもあまり進まなかったというのが本当のところです。ほとんど完成し、残すはこの「www版制作にあたって」だけとなって3ヶ月。私は一体何を考えていたのか…。

 美雪ちゃんは2月9日の卒業式をもって、会うことはなくなってしまった、そのことに対する気持ちの整理ができなかった。いや、無理してする必要はないと思う。それでも、「欠けた心の補完」は、ほとんどされることなく時が流れていく。その、なんともけだるい、ぼ〜っとした気持ち。それまでの2年半という、とても密度の濃い時間の流れとは明らかに異なるのです。

 そんなこんなで、卒業式から半年後の8月9日に公開することに決めました。半年という時間、短いと感じながらも、美雪ちゃんがいた頃のSKiがとても遠くに感じられてしまう。今はもう、違ったグループみたいな…。



 ところで私は、いったい何のためにこのミニコミを作ったのだろうか? 美雪ちゃんの想い出をいつまでも残したいから? そんな単純なものではない。その時でなければ書けない文章って、あるじゃないですか。「卒業式」に向けて妙に気持ちの高ぶるなか原稿を依頼し、11名の方が書いてくださいました。私はデザインが苦手なので、見栄えのしないものとなってしまいましたが、この方々の文章はいずれも愛情のこもったもので、きっと美雪ちゃんには想いが伝わるものと確信できました。

 自分自身の原稿は、当日の朝方までかかって書きました。印刷作業と並行して。時間が足りない、少しは眠らないと、本末転倒なことになってしまうから。そんな焦りの中、すべての完成は朝の9時半ごろ。

 2時間ほど寝てから会場に向かい、とうとうカウントダウン&卒業式のはじまり。最後の二期生委員会、そして静寂向上委員会のステージ。美雪ちゃんのヴォーカルも、「夢は眠らない」で最後なのです。今まで、何度か歌ってきたうち、今日の日が最も素晴らしかった。決してお世辞ではなく。なぜか、レコーディングされたものに自信を持ってなかった美雪ちゃんですが、この時は力の抜けた、とてもていねいな歌唱。この日、最も輝いていた瞬間と言っても過言ではないでしょう。

 2月9日の卒業式をもって、まとまりとしての「二期生」は終焉を迎えたと言えるでしょう。思えば、表面に出る機会も少なく不遇でした。それでも、確実に支持者は存在しました。「二期生」を愛するファンにとって、二期生のメンバーでなくてはならない、そして二期生というまとまりがとても重要であったのです。

 美雪ちゃんから受ける印象は、私自身の「こころ」を投影しているようなところがあって、あまり他人事のように思えません。このあたりは、KS3に書いてみようかと思っています。



 それでは、卒業式から最も印象に残ったシーンを紹介しましょう。

  博子「SKiに入って良かったことは何ですか?」

   (しばらくの沈黙の後に)

  美雪「みんなに会えたことです」

 その瞬間、ステージ上のメンバー、そして客席の雰囲気が変わった。きっと、思っていることは一緒に違いないでしょう。ここでその意味を書くことはしません。読者の方が、みなさんそれぞれの松本美雪像と照らし合わせ、感じていただければ、それでいいのです。

 すべてにおいてマイナスポイントなどなく、かつ、様々な面で大変魅力的な女の子が松本美雪ちゃんでした。このような子に出会えることは、もうないでしょう。


 最後に一言。私が、美雪ちゃんに贈る最大の賛辞として…。


「あなたに会えて、本当によかった」


[1997. 8. 9記  夢野 雫]



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